第127話 Barmbrack ~バーンブラック~

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okashi


<Barmbrack バーンブラック >

「Barmbrack (バーンブラック)」。最初にその名を聞いた時は、真っ黒焦げのケーキ?なんて想像したこのお菓子はアイルランドを代表するティーフーズ。もちろん真っ黒焦げケーキなんかではありません。お店により、家庭により、さまざまなバリエーションがあり、配合も形もかなり幅がありますが大きく分けると2タイプ。イーストで膨らませるタイプとベーキングパウダーや重曹を膨張剤に使うタイプ。どちらもたっぷりのドライフルーツが入るのは共通ですが、イーストを使う前者がより伝統的なタイプです。形のほうは、ベーキングパウダーを使うケーキタイプは大抵ローフ型。イースト使用のパンタイプはやはりローフ型で焼くこともありますが、丸いケーキ型で焼くか、あるいはただ大きく丸めて、そのまま天板にのせて焼くことのほうが多いよう。どちらもスライスしてバターを塗りお茶のお供にいただきます。ちょっと日が経って乾いてきたら、軽くトーストしてまたバターをたっぷり塗って食べれば美味しいので、一度作っておくとしばらく楽しめます。

イーストで膨らませるより伝統的なパンタイプのバーンブラック☆

イーストで膨らませるより伝統的なパンタイプのバーンブラック☆

ドライフルーツが入り、イーストを使ったパンタイプとベーキングパウダーで膨らませるケーキタイプがあると言うと、思いだすのがウエールズ地方のバラブリス。これと非常に似ています。ケーキタイプのほうは前もってドライフルーツを紅茶に漬けておき、それを粉類と混ぜて作るので、本当にバラブリスとそっくり。そっくりなのは姿かたちだけではありません。実は名前の由来も似ています。Barmbrack(ゲーリック語でbáirín breac) の「barm」はエールイースト(ビール酵母)を意味するbairm あるいはbermaからきており、brackはドライフルーツが散っている姿から「ぽつぽつと斑点のある」という意味。ウエールズ語で「斑点のあるパン」を意味するバラブリスのアイルランドバージョンと言う訳です。あえて違う点を探すとすれば、ケーキタイプを作る際、ドライフルーツを紅茶に漬けるとき、バーンブラックはアイルランドらしくアイリッシュウイスキーを加えることがあるとういう点でしょうか。

ケーキタイプのバーンブラックは紅茶漬けのフルーツ入り☆

ケーキタイプのバーンブラックは紅茶漬けのフルーツ入り☆

さて、今でこそ1年中紅茶のお供として愛されているバーンブラックですが、伝統的には(イーストで膨らませるタイプを)特にハロウィーン時期に食べるものでした。そしてトゥエルフスナイトケーキ、あるいはクリスマスプディングのように、中には小さなラッキーチャームをひそませ、吉凶占いを楽しんだのです。「コイン」は富、あるいは幸せを、「指輪」は1年以内の結婚を暗示します。ここまではいいのですが、中にはあまり当たりたくないものも。「豆」は1年以内の結婚はなし、「布切れ」は貧困を、「小枝」はハッピーではない結婚生活、あるいは絶えない喧嘩を、「指貫」は一生独身を示すと言うのだから恐ろしい。。。今では指輪かコインだけを入れるのが主流とのことで、ちょっと一安心ですが。大体パンの中に布切れや小枝を入れるって、、。

「Irish brack(アイリッシュブラック)」あるいは短く「Brack(ブラック)」と呼ばれることもある、このお菓子。アイルランド以外でも、例えばヨークシャー地方では「ヨークシャーブラック」、あるいは「ブラック」という名でケーキタイプのものが食べられています。また、パンタイプのバーンブラックはイギリス国内の大きめスーパーなら袋入りのものをパン売り場で見かけることがあります。一見何の変哲もないレーズンパンのように見えるので見逃しがちですが、もし目に入ったら是非お試しを。スライスして、たっぷりのバターと熱い紅茶がお約束です。

 

 

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About Author

yasuda mariko

宮城県仙台市出身☆ 2008~2012年イギリスにてイギリス文化&イギリス菓子を大吸収するかたわら、日本で主催していたお菓子教室をつづけていたところ、あぶそる~とロンドンの編集長に出会う。 現在の居は巡りめぐって宇都宮。イギリス菓子教室 'Galettes and Biscuits' にてイギリス菓子の美味しさ&魅力を静かに発信中☆ http://galettes.exblog.jp/ 2018年2月 美味しいイギリス菓子をぎゅ~っと詰め込んだレシピ本 「BRITISH HOME BAKING おうちでつくるイギリス菓子」を出版 2018年 12月 「イギリスお菓子百科」を出版

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