第33話 「いつか…」をミニマイズ。

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Chapter 5.2
「いつか…」をミニマイズ。

そろそろイギリスも夏休みモードに突入。英国での夏はとても過ごしやすいうえ日照時間も長く、1年で一番好きなシーズンです。

ところで夏休みといえば、新学期直前になって慌てて宿題と格闘した経験のある方も多いのではないでしょうか。

仕事の場合でも、期限ぎりぎりまで作業が終わらないといったケースはよくありますね。でも期日が来てみると、頑張ったおかげで無事なんとかなっている。

コツコツやっても最後に慌てても作業が完了するのは締め切りがきた時になるという不思議。イギリスの政治学者シリル・ノースコート・パーキンソンの著作にちなんで「パーキンソンの法則」と呼ばれるこの現象は、簡単にいえば『人は与えられた資源(=この場合は「時間」)をすべて使い切ってしまう』というもの。

与えられた時間が短くなっても長くなっても結果は同じ。そして「1週間以内に提出」と言われても、「5日以内に提出」といわれても、仕上がりの質にはあまり差はないのだそうです。

以前に20:80の法則(パレートの法則)という考え方ついて触れましたが、このパーキンソンの法則もビジネスだけでなく生活全般に当てはまります。

つまり「何かをしよう!」と思った時、期限を決めるか決めないかで実現する率はかなり変わってくるということ。

ミニマリスト・パッキングパーティを始めたい(※詳しくはこちら part)」「不要なスケジュールの見直しをしたい」「健康のため食生活を変えたい」と思っても、いつかやろう思っているだけではなかなか実現しないものです。

これは「こんど・いつか」という未来に期限を永遠に先送りしているためで、やりたいことが今の自分となかなか結びつかないから。結果として、できない自分にうんざりしたり、やろうと思ったことすら忘れてしまうという事態が起こってしまうのです。

そこで提案です。
今の方法でうまくいかないなら、逆のやり方でやってみる。

つまり、本当にやりたいと思っているなら「いつやるか」「いつまでにやるか」を決めて現在の自分の日程に組み込んでしまう。ついでに「どのようにやるか」「どのように始めるか」という方法・タスクもすぐ実行できるところまで細分化して具体的に決めてしまう。こうすることで実行できる確率はぐんと高まります。

  • 今週末を使ってやろう。
  • 今、自分に必要ないアイテムを5つ探して処分しよう。
  • 土曜日に服だけ全てパッキングしてしまおう。
  • 今日、夜の9時から30分、きちんとどこかに座ってやってみよう。(タイマーをセットしておこう)
  • 明日から昼食だけ内容を変えてみよう。

これは睡眠をとる、1人でぼーっとしたいといった休息時間の確保についても同じことがいえます。

もちろん上手く行くこともあればそうでないこともあるけれど、やってみなくては分からない。

例えば、これまでろくに走った事がない人がマラソン大会に出場したいと思ったら、いきなり42kmは走らないですよね。現実的に無理だし、足を痛めて初日にギブアップするのがオチ。

「それなら5kmは走れるかな?」「3ヶ月後にある5kmレースに思い切ってエントリーしてみようかな?」「無理なら2kmは?」「まず家の周りを10分ジョギングする所から始めてみる?」「いやいや散歩をするところから?」「その前にジョギングシューズが必要?」「実際に走るのがまだおっくうなら、ジョギングウェアに着替えて、とりあえず家の外に出てみる?」「走ろうと思ったきっかけになったインタビューや映像を見直してみる?」

やりたいことが思ったようにいかなかったら、上手くいくまで色々な方法を考えて試せばいいだけ。成功しないと分かっている方法を何度も試して「変だなあ、頑張っているのにうまくいかないなー」と首をひねってもしょうがないですよね。

自分ではたくさん思いつかなくても、友達にアドバイスを求めたりネット検索をすれば、10通り、20通りの方法はすぐ見つかります。リストを作るなどして「どれがうまくいくかな〜?」と片っ端から試してみましょう。

1つ試してうまくいかない時点で「止まってしまう」「失敗した・ダメ人間だと自分を責めて終わる」「諦めて他の事で気を紛らわせる」というのは、結局、新しい挑戦が怖いので現状にしがみついているという事なのかも。(詳しくはこちら>第8回『自己ベストがこわい私たち』)

3年後も「走りたいんだけど、無理」と言っているかもしれません。

でも「そっか、じゃあこの方法はどうかな?」と思い詰めず気軽にトライしていれば、1年後に10kmレース出場、味をしめて次はハーフマラソンに挑戦、そして憧れの大会に出場と、3年前にはなかった地点に到達しているかもしれない。もし完走できなかったとしても「やってみたぞ!」という体験と自信はあなたのもの。ランナー仲間ができてチャリティ・マラソンを企画したりと、予想もしてなかった展開だってあり得るのです。

ちょっとこじつけっぽいかもしれませんが、「いつか…」と思っているやりたいことリストをどんどん最小化(ミニマイズ)してしまう。

すると当たり前ですがやりたかったことがどんどん実現して、未来に思い描いていた「できている私」が今の自分になってくるという訳ですね!

最後にミニマリスト・コミュニティでシェアされている「分かっちゃいるけど、できない」に効く処方箋をご紹介。どれも今、この瞬間から始められることばかりです。

基本はその人に合わせてミニマリズムを取り入れて、大切なこと・やりたいことに専念できる環境や時間を意識的に作り出すということ。
モノを例にすると、持ち物が少なければ整理する時間や選ぶ時間、掃除する時間などが減り、その分したいことに使える時間やお金が増えます。
セールに行かない、お店に入らないなどして自分の買い物癖を阻止すれば、支払いのために必死になって仕事をしなくてもよくなり、ストレスも減ることで買い物癖自体も次第に治まり、時間も生まれます。食生活や仕事、人間関係も同様です。

  • 自分でやり方がわからないなら専門家や友達に相談したりネット検索したりしてとにかく「探す」。15分でどれだけ見つかるかゲーム感覚でチャレンジ。
  • 時間が足りないと思うなら、TVやスマホ・タイム、つきあいの飲み会など自分に一番必要ないと思う時間を「ミニマイズする」。20分早起きしてみる。
  • 片付けでも掃除でも誰かへの電話でも創作活動でも、そのタスクを15分だけタイマーをセットしてやってみる。時間が来たらやめてもいいことにする。
  • ベッドから出られない等、なかなかお尻が上がらないことの実行には「10、9、8、7、6、5、4、3、2、1、Go!」と自分でカウントダウン。

このたった10秒〜20分が自分の人生をどか〜んと動かしてくれるかもしれませんよ♪

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写真家&ライター。東京で広告制作・編集と撮影の仕事を経て2003年渡英。フリーランスで活動中のアーティスト。ロンドンをベースにアーティストや作家をモデルにした絵画的なテイストを持つポートレート制作などを行う。英国をベースとしたエキシビションを開催。日常系ミニマリズム研究家。「あぶそる〜とロンドン」編集長、江國まゆ氏と共に2018年に『ロンドンでしたい100のこと(自由国民社)』(執筆&撮影)、そして2020年には『レス・イズ・モア 夢見るミニマリストでいこう。』を出版。

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